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MILANO‘S REVIEW

MILANO‘S REVIEW

『久能千秋』作品

『青の軌跡』シリーズ (久能千明) 

■皆さんは映画『2001年宇宙の旅』という話をご存知ですか?

これもそんな、『遠い宇宙空間へ行く途中の宇宙船内の話』です。
遠い星シグマ23で活動する予定の科学者達200人は、コールドスリープ状態で、現在、船内に起きて活動しているのは、クルーの4人だけ。

サンドラとロード、それに、三四郎とカイです。

狭い宇宙船内で一緒に長時間を過ごさなくてはならないので、このペア達は、コンピューターがはじき出した、最高の相性の異性を組み合わせるようにできています。
この、パートナーのことを『バディ』といいます。

相性が良すぎて、ほとんどのケースで、仕事や生活面だけでなく、セックスにおいても良好なパートナーシップを持てるようになってしまっているらしいです。

美人で気の強い『サンドラ』と、長身で逞しいけれども、性格は穏やかな『ロード』は、お互い、この仕事の後は別々の道を歩むつもりでいますが、仲良くやっています。

しかし、『三四郎』と『カイ』は、目覚めて初めて自分のバディを見てびっくり。

お互い、男性同士だったからです。

『三四郎』は、宇宙船内で生まれた生粋の宇宙っ子(そんな言葉あるのか)で、傭兵上がりですが、能力は抜きん出ているそうです。
長い黒髪を皮ひもで束ねても、髪が艶やか過ぎて、いつも解けてしまうらしいです。ワイルド系ヤサ男といいますか。

『カイ』は、超美人の月人。普通、月人は、非常に快楽に順応し易い性格なのですが、彼はちょっと違って、人に触れられることを極端に嫌っています。裏になにかありそうです。

この二人の仲が、どうなって行くのかが、物語の横線、そして、毎回起こる異常事態を、2人が喧嘩しながら、悩みながら、鮮やかに乗り越えて行くのが縦線と言って良いでしょう。

■『青の軌跡』
男同士の『バディ』(コンピューターが選んだペア)という点にとまどうだけでなく、お互いの性格に疑問を持ち、反発し会うカイと三四郎。

しごとの仕方も、プライベートで話していても、噛み合いません。

ところが、宇宙船が、何故か、ブラックホールの方向へ向かってしまい、言う事を聞かなくなってしまいます。

互いの、仕事に対する能力だけは認め合っているこの2人は、この危機に対して結束します。

いつもはマニュアル通りに動こうとするクセに、最大の危機においては突飛な対処法を大胆に実行しようとするカイに、三四郎は『お前をくどきたくなってきた』と囁くのでした。

最初、森川さんの三四郎の声が思ったよりも太いのと、独特の『森川節』が気になった作品です。でも、続きのCDを聞くうちに、どんどん気にならなくなり、イまでは森川さん以外では、考えられない程になりました。

中原さんも、最初は「『美青年』役、大丈夫かな??」と心配でしたが、
いつもは抑揚なく喋るくせに、ベッドの中ではメチャクチャ妖艶な(ハスキーな)カイの声を200%再現してくれてまして。

2人の人選をしてくれた方を拝みたくなりました。(笑)

ただ、やっぱり小説を読んで無い人には、分かりにくいかもしれないですね。


■『カタルシス・スペル』

これってね~~~。実はかなり好きな話なんですよ。
もともと久能さんの話は、きちんとプロットが立てられていて、
安心して読めるのですが、

その中でも、着地が見事E難度でピッタリ成功!!!
と言う感じで。読後感がスッキリしていたのでした。

物語は、相変わらず、偏狭の惑星に行く途中のハイテク宇宙船『ジュール・ベルヌ』

サンドラとロード、三四郎とカイの『バディ』が、交替で舟を動かしています。
このバディ、ベッドは共にすれど、私的な『恋人』とはニュアンスが違うところが、この物語を複雑かつ新鮮にしているような気がします。

それで、今回は、
視察官として、少佐のサーシャ(真殿さん)が乗り込んできます。
そして何と、自分の元バディだったグイドリー中佐(中村さん)達を、コールドスリープ状態から起こして、船を乗っ取ってしまったのでした。

ところが、船のセントラルコンピュータには、三四郎がその前に悪戯で仕掛けをしていて、彼とカイがそれぞれある『パスワード』を音声入力しないと、手動に変更
できないようにしていたのでした。(やるな~~三四郎!!!)

この、パスワードを言わせるために、グイド・リー達は、三四郎を拷問してみたり
カイを懐柔してみたり、それをみてサーシャが嫉妬したりするのです。

結局、カイが、捨て身の攻撃で三四郎を自由にし、後は彼の発送と攻撃力にまかせたと言う形になっていきます。

ちなみに、このパスワードというのが、(ニマニマ)
三四郎がわざとしかけた話にカイがまんまと乗って、

「思わず本音を言わされてしまった!!!」

という台詞です。もちろんそんな自分の台詞をパスワードにされてカンカンです。
(いつもは、アイス・ドール状態なのに)

最後にそれを聞いたサンドラとロードは
「ヒェーッツ!!!」
と、固まってしまうのでした。

CDとしての出来も良いと思いますが、一般的なBLCDとはちょっと違いますし
小説をよんでいない人は、状況がわかり難かったかもしれません。
私としては満足の行くものでした。


真殿さんの美青年少佐、サーシャもステキでした。もっと喋って欲しかったです。
そう言えば、嫉妬に狂ってカイをやっちゃうシーンはありませんでした。
カイの反応が無いシーンなのでCD的に美味しくなかったからでしょうか??

(いいのにな~真殿さんの声さえあったら…)


■ペルソナ ノングラータ
(キャスト)三四郎:森川智之       マジェラ:森久保祥太郎
      カイ :中原 茂       イザク :小杉十郎太
      ロード:梁田清之
      サンドラ:小林優子
      近衛 凱:堀内賢雄

(あらすじ)
三四郎達が乗る惑星探査船、『ジュール・ベルヌ』は、クナル基地に立ち寄り
ツアルノルテ共和国の領空通過申請を行った。
しかし、クナル基地から帰って来た小型船には、凱の姿がなかった。
事故なのか、誘拐なのか…
(梁田さんの声で再生してください。笑)


今回も1冊の本を二枚組に落とすという充実した作りになっています。

ディスク1では、主に、凱を誘拐したのが誰なのかを探る話。
ディスク2は、クナル基地から皆が生還するまでのアクションシーンが満載です。

その中に、カイの思いが少し入り、ツアルノルテ共和国内での内紛とそれに伴ったイサク大佐とマジェラ司令官の愛増劇が切なくからんでいます。

それから、イザク基地に雇われていた、秘密結社のような傭兵集団『ヘイパン』(漢字では『黒幇』と書きます)と、三四郎の確執が明らかになって、また問題が複雑になって行くのでした。

まったくもー
カイの淫乱な少年期に戻ってしまった話も解決して無いし
三四郎はヘイパンに追われてる事がわかったし
何よりカイと三四郎の関係もあやふやだし
カイ自信の内面の問題も解決してないし
ペンディング事項多すぎなままなのですよ。

でも、シリーズの中でも屈指のアクション話をCDでも分かりやすく再現しているところはさすがです。

最後の、カイが、傷ついた三四郎を抱きかかえつつ
「帰ろう(船へ)」というシーン。
カイがこれほど船を懐かしく感じてるのに、
きっと三四郎は
「早く任務を終わりたい」
なんて思ってるのかな~と思うと、ちょっとくらいドクターがカイにちょっかいかけても良いのかな~と思い始めている自分がいたのでした。

■ファントム・ペイン

今は堅物中の堅物になっているカイが、先日の事故のショックで、昔の『エピキュリアン』(快楽主義者)だったころの自分が現れていた事を知り、
ショックと羞恥のあまり、三四郎を道連れにして死のうとする話がメインです。

このシリーズ…大好きなのですがね~、

この時のショックで茫然自失したカイを、三四郎ではなくて、医者兼キャプテンのような地位にある、三四郎の弟の凱(ガイ)が、癒してあげてるところが実はワタシ的にはすご~~~く不本意…です。前作では『許せるかな?』と思ったけど、やっぱりイヤだ~~!!!

三四郎が、実はざっくばらんでおおらかな性格であるようで、実は必要以上に人の中には踏み入れないクールな性格(傭兵あがりだから??そんな育ちだから?)…という設定からすると、この展開は仕方ない…とは理解できるのですがね。

三四郎×カイ ラブラブ推奨派なワタシとしては、
出張ってばかりの凱もイヤだし、

クール過ぎる三四郎もムカツク~~!!
絶対カイは深層心理では『I need you!SANSHIRO』なのだから
もっと自分の心の中に入れてやってほしいぜ。(プンプン)

でも、カイも、実は、三四郎と引き離される前に、
三四郎の過去の罪(悪いことをイロイロやってるくせに
軍のデータを改ざんして、この舟の乗組員になってるんですよ。)
をあばこうとしてるのがちょっとイジワル??

それともそれを盾に自分の僕にするおつもり??
(ミラノの希望的予測)

でもって、ワタシにとっての『超悪役』にされてしまっている凱。
(三四郎の双子の弟なのだけど、彼の方は地球で医者などの勉強をしていた為、宇宙船の中にいた三四郎よりも年上に見えるそうです。実際、位も上ですしね。)
この方、実はカイにご執心なのですよね。それもねちっこく。

ですからすべてカイにとってよかれと行動している。のは良いけど、
つまり、今、三四郎に頼っていて、カイが精神を人間的に戻していたとしても、冷たい三四郎は、この任務のあと、また余所へ去ってしまうに違いない。
その時のカイのショックを考えると、早いうちから離した方が良い…
そう考えているらしくて(あながち間違いともいえないんですが)
2人を『引き離そう』『引き離そう』とするのですよ。

ゴメンネ~堀内さん。別に貴方が嫌いなのではないのですが
日頃からのお祭り人間かつ唯我独尊な言動を聞くにつけ、この役が貴方ではなく、他の『抱擁力ある声』の声優さんだったらもう少しはスキかな~とまで考えてしまいました。

そう、例えば『ミラージュ』の中川先生のような気配りのし方だったら…

好きだけど、今度は三四郎と双子って設定が無理になってしまいますね…しょぼん。

とにかく、中原さんのカイと、森川さんの三四郎のやりとりは
絶妙かつ安定していて、物語の中にすっと入らせてくれるのは見事です。


この後、最初の『青の軌跡』を聞いてみると、森川さんの言いまわし方がとても丁寧で慎重なので、
枚数を重ねるごとに、三四郎が自然に身に付いて行ったんだなーと思いました。

でもでも、この、最初の話、『青の軌跡』は
ブラックホールが沢山ある危険地帯で消息を絶った恋人『ブルー』を探せと
自分の作ったコンピューターに指示していた博士の思念のせいで
舟が、その危険地帯へ突っ込もうとしたわけでして、

その時に三四郎が
「オレは(ブルーのように)信号を残したりはしない。(から探すな)。」
と冗談っぽく言うのですよね。

そのエピソードが物語の伏線になって、
いつかは、三四郎が消息を絶ってしまうのではないかというのが
ワタシの密かな心配です。ドキドキ

(最新刊でも、1人で去ろうとしたんだけど、カイが気付いて、ついて行くのですよね~~~。続きが楽しみです。)


堀内さん…ヤギが自宅にいて、漢和辞典やらアクセント辞典を食べてしまったので、台本の下読みができなかったそうですね。
ついでに台本のカイを口説こうとする科白もすべて食べられたら良かったのに~~~。(笑)


■ラジオ『カレイドスコープアイズ』
2000頃にラジオで放送されていたものをまとめたCDです。
森川さんと中原さんが、宇宙の三四郎とカイと交信しつつ
梁田さん、堀内さん、小林さん等のゲストと共に、トークを繰り広げるというもの。

CDに残されている会話が面白いので
リアルタイムでラジオを聴きたかったと切実に思います~~。

最後にボーナストラックとして、2人の居酒屋トークも収録されていまして
中原さんが1/8ドイツ人だという話も出るなど、
リラックスした楽しい一枚になっています。

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